薬剤科です。
今回は雑草の中の雑草、ヨモギについての豆知識です。
ヨモギは様々な場所に自生している生命力旺盛な植物ですね。
ヨモギは、生薬として日本薬局方に記載されています。
艾葉(ガイヨウ)と言い、「ヨモギ又はオオヨモギの葉及び枝先である」とされています。
どちらのヨモギも5月ごろから夏の間に葉を採取し、日干しにすることでガイヨウとなります。
ガイヨウは経(東洋医学の概念:気や血が巡っている通路のこと)を温め、血を止める効能があり、出血、腹痛、下痢などに用いられます。
漢方薬の芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)は、痔出血に用いられます。
そしてヨモギと言えば草餅ですね♪
庄内では、きれいな緑色に「稲が青々と育ちますように」との願いが込められた縁起ものです。
ヨモギの葉先の柔らかい部分を重曹であく抜きをして用いられます。
独特のさわやかな香りが春を感じさせますね。
ヨモギの香り成分はシネオール、リヨンなどで、アロマオイルとしても用いられます。
そのほか、春先のやわらかい新芽をおひたし、天ぷらなどにしたり、ハーブティーとしても楽しめるようです。
お灸のもぐさもヨモギなんです。
5月ごろに採取した葉を乾燥し、臼に入れて粉末状に砕き、ふるいにかけて毛だけを集めた物がもぐさ(艾)となり、お灸に使われます。
なんと、生よもぎ100キロからとれるもぐさはわずか500グラムほどだそうです。貴重ですね。
ヨモギと言えば、水中メガネの曇り止めになることを御存じでしょうか?
水中メガネが曇るのは、皮脂からの油膜がガラス部分に付着することが原因です。ヨモギの成分は、皮脂を分解する働きがあり、そのため曇らなくなるようです。
ヨモギの葉を数枚摘み、岩などに擦り、そのしぼり汁をメガネに垂らし、擦った葉でメガネをこすります。軽く水で流しますが、何とも言えないヨモギの青い香りが残り、夏の記憶とともに思い出されます。
このように、ヨモギは古くから身近な薬草としてヒトの暮らしに役立ってきた植物なんですね(^-^)
~シリーズ 雑草~