プロジェクトメンバー日誌

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2016.3.11
放射線とリスク
メンバー日誌

今日で東日本大震災・東京電力福島原発事故からちょうど1年になります。原発事故によって放射能・放射線が環境中に飛んでしまいました。けどもともと放射線は我々の環境中に自然に存在します。日本の放射線量マップでは西高東低の分布になっています。ですが西の人が癌になりやすいというデータはありません。山形県の自然放射線量は0.9~0.99ミリシーベルト/年、福島県は1.00~1.09ミリシーベルト/年です。これは原発事故前のデータですから山形より少し高めですが事故による放射能漏れとは無関係です。このミリシーベルトという単位ですが非常にわかりにくいので計算式は省略します。例えば一度に500ミリシーベルトを全身に被ばくしますと一時的に白血球が減少します。これが放射線障害が起こることが確認されている数値です。この数値以下では放射線障害は確認されていません。ただし、管理上の合理性から放射線はあれば危険ということにしています。広島長崎の被爆者を対象とした疫学調査では100ミリシーベルトを被ばくした集団と被ばくしていない集団のがん発生率が同等でした。そこで100ミリシーベルトを生涯被ばく限度としました。これには診療で受ける医療被ばくは含みません。ちなみに胸部X線写真を1回撮ると0.03ミリシーベルト位の被ばく量になります。ですから胸部X線写真を16667回連続で撮ると白血球が一時的に減少するかもしれません(その前に機械が壊れそうです)。被ばく量と他の危険因子を比べると、100ミリシーベルトは野菜不足程度のリスクにしかなりません。喫煙によるリスクは2000ミリシーベルトの被ばく量に該当します(下表)。放射線よりたばこのほうがハイリスクです。ちなみに、人間ドックなどで喫煙歴のある人をCTで診ますとほぼ100%肺気腫が見つかります。また、世界平均では自然放射線により年間2.4ミリシーベルトの被ばくをしています。BrazilのGuarapariというところは年間10ミリシーベルトの自然放射線地域です。Guarapariの住民に癌が多いとか寿命が短いというデータもありません。また東京とニューヨークを飛行機で移動すると0.2ミリシーベルトの被ばくをします。スチヮーデスやパイロットは癌になりやすい寿命が短いというデータもありません。これは宇宙線によるものです。ちなみにノーベル賞で有名になったニュートリノも宇宙線の一種です。

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放射線専門員 小野

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