
医局スガイです。5月に聖マリ大主催の第20回司法精神医学会に演題を出して喋ってきました。当院は2015年の開棟と同時に東北2つ目の医療観察法病棟、そして東北2つ目の院内学級併設の子ども病棟をオープンさせ、医療観察法病棟としては全国で31番目に開設された病棟ではありますが、アクセスの悪さを埋める丁寧なフットワークを信条に、東北各地の対象者の社会復帰の支援体制を整備してすでに30名前後の方が社会復帰を実現させています。
医療観察法の法施行時から苦労して、司法精神医学という分野の発展に尽くしてきた先輩病院チームを見せていただいて素直にすごいなと思いつつ、でも東北に同じような病院は2つもいらない。では自分たちには何ができるか?というのが私の病棟運営の出発点で、まだ駆け出しのころから自分の病棟づくりっていい線行ってるのではなどという自負もちょっとあって、同じ医療観察医療従事者にできるだけ発信は続けようということを意図してきました。花巻で開催された2019年の学会から、司法は6年連続で演題を出させていただくことができました。(医療観察の病棟医をやっていると、鑑定など一般の精神科の先生だと滅多に経験できないことをしょっちゅう経験できますので、当院に勤務していると発信できるネタには事欠かないです。)
私の演題は2日目、ピアレビューでもお世話になった北大司法医療センターの賀古准教授が座長を務める「司法精神医療とスティグマ」シンポジウムと「多職種で学ぶ日常臨床で生かせる司法精神医学技法」ワークショップと同時の一般演題で、シンポに客が流れて聴衆が少ないことを期待したのですが(笑)この日の一般演題はセッション2つとも精神鑑定ネタで、会場ぎつぎつでした。私の前のセッションでは新進気鋭の先生の鑑定演題に大御所が結構突っ込みを入れていて、私が演題を出すセッション2も愛知県精神医療センターの吉岡先生、鹿児島大の赤崎先生(鹿児島開催の司法精神医学会では学会長だった)という大重鎮のあとが私という並びで、ちょっと助けて~という感じでした。私も東北ではそこそこ鑑定経験している精神科医の一人ではあります。ただ、人が書いた鑑定書にこれ、論理展開が甘い、などと日頃文句ばかりつけていて、自分が鑑定すると毎回ドツボにはまって泣きながら仕事しております(笑)。
学会初日は北大の高信先生(彼は業界ではまだ新進気鋭の若手ですが、対象者の病態の理解が凄く深くて、今後の司法精神医療をけん引する逸材の一人だと思う)や榊原の心理の壁屋先生(医療観察の共通評価項目、その改定に携わった人です。)アフタヌーンセミナーで「医療観察法における統合失調症患者の薬物療法」を講演してくださったあさひの丘病院の福島先生(なま福島先生とお会いするのは初めてでしたが、私は頼まれてWeb講演会の座長をすることも多く、Meet the expert in 東北という宮城、山形、福島横断のWeb講演会で福島先生の講演の座長をさせていただいたことがあります。)にちょこちょこ質問させていただいたりする気持ちのゆとりがあったのですが、2日目は暗くなって自分の出番まで引き籠ってました(笑)。
ちなみに福島先生のあさひの丘病院、民間病院ですが措置入院や医療観察鑑定入院を受けることも多く、あさひの丘病院での治療が患者さんにとっては精神科治療との初めての出会いになることも多く、短いけれどいかに良質な医療を提供するかが自分のミッションであるなどと明確に語られていてWebで座長させていただいた時もとても面白かった。実は福島先生とはじめてご一緒させていただいたWeb講演会、参加された東北各地の先生の人選は私スガイが担当(?)していて、座長が医療観察法病棟医、パネルディスカッションの演者の先生が、なぜか山形県立を退院した後医療観察の対象者の通院をお願いしている基幹病院の先生ばかりという謎の布陣でした。初めてお会いした福島先生にまたWebでご一緒させてくださいと営業も忘れない私であった(笑)
ちなみに少し前のブログで水没林が出てましたが、私は学会スライドに全部自分で撮影した写真を使ってスライドづくりには命を懸けます(笑)。この写真、撮影が実は朝の4時半。湖面の朝霧、山の雲海、そしてそろそろ日が昇ってくる絶妙な時間…。この時間に写真を撮るのはオートキャンプ場にキャンプでもしないと撮影まず無理ですが、私は家族でGW米沢に泊まって3時半おきで白川ダムに向かって絶妙な時間の写真を撮ることができました(笑)。今年の演題は裁判員裁判に乗ることになった精神障がいの事例について、裁判員裁判で市民感情も反映された判決が下ることは被害者と遺族の心情に寄り添うことにはなったと思う、でも被害者にとって本当に救いになるのは何?といった話をさせていただいたので重鎮から突っ込まれることもなく、水没林のスライドにはみんな食いついてました。
司法精神医学会のほか、司法精神医学領域では医療観察にかかわる多職種が参加する関連職種研修会というものがありまして、こちらは参加者が相当に多いです。昨年関連職種デビューを飾り、今年も司法、関連職種両方に演題を出し、栃木でしゃべってくる予定です。
私は学会懇親会など出ても、知り合い見つけるとくだらない雑談ばかりしていることが多く(おかげで○○先生の一押しの日本酒は山形の栄光富士らしいとか、裏情報(?)ばかり詳しくなっていますが…。)こういう領域で苦労する同業者の絶対数が少ないので司法系の学会、行くととても勇気をもらえます。栃木のスライド全く作ってなくてこれからドツボにはまりそうですが、今から栃木行き、とても楽しみにしています。