プロジェクトメンバー日誌

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2023.12.22
医療観察法病棟の「ピアレビュー」の話。
メンバー日誌

医局スガイです。

 

今回は医療観察法病棟同士で行われる年中行事(?)ピアレビュー事業について。

2005年に法施行された医療観察法、当院も2015年東北で2つめの医療観察法病棟を設置して9年目に入り、すでに30名弱が社会復帰を実現させています。皆さん耳慣れないと思いますがこの「ピアレビュー」、医療観察法では難しいケースを多職種チームで退院に持って行くノウハウを一般の精神医療にも還元し、精神医療の底上げを目指すということが法の目的として掲げられています。このため、法施行時から病棟同士のマッチングを行って、相互に病棟を訪問し、評価を行うピアレビュー事業というものが行われていました。(子ども病棟どうし、とかいろいろな領域でこういう試み、もっとあってもいいと思うのですが、こういう事業が行われ続けているのは医療観察法病棟のみ。)一週間の間に病棟の評価を行い、スライドを作ってプレゼンしてこないといけませんのでまあプレッシャーも半端ではありませんが、これだけ密に他病院チームと密に接する機会って意外になく、同じ領域で苦労しているもの同士で仕事を続けていくうえの悩みややりがい、本音で話し合える瞬間は何回経験しても本当に楽しく、精神科医やっていてよかったなと感じる瞬間でもあります。

 

この11月私、看護師吉田、作業療法士石森の三名で昨年オープンした北海道では初の北大司法精神医療センターを一週間訪問して同院の病棟を評価、12月には同センターのセンター長、賀古勇輝先生、三浦副看護師長、國田作業療法士をお迎えして一週間にわたって当院の評価を受けることとなりました。

北大司法精神医療センターにて 北大チームと私ども山形県立のピアレビューチーム

 

医療観察は精神医療の慣習的な様式にとらわれず、新しい精神医療の在り方を作り上げていこうといった理念があって、各病院でオリジナリティの高い試みがなされていて、研究会などでもなるほどね、と思わされることが多々あります。私たちも新しい試みをいろいろ工夫していかないとなどと考えつつ、経験が長くなればなるほど新しさの追求よりまず安心安全な病棟運営といった管理的な発想がどこか強くなってしまっている??人のチームをレビューアーとして評価に行くと、もっともらしい意見が結構言えたりするのですが、自分のチームや自分の病棟運営については、どこか近視眼的となって見えなくなっている部分も大きいのかな、など北大チームさんにいろいろ意見をいただいて本当に気付きの連続でした。北大司法精神医療センター、大学病院としては初の医療観察法病棟で、大学とタッグを組んでの認知機能リハビリや法曹家との連携体制など、私たち自治体立の病院ではなかなか実現、継続することが難しいことをすでに軌道に乗せているあたりはさすがだなと思いましたが、北大さんで一番すごいと思わされたのは、大学の病棟で多職種チーム作りをやってきたセンター長の准教授賀古先生による独自の多職種チーム作り。北大チームさんは過去視察した病棟の中では非常に自由度の高い病棟運営がなされていてそこが印象的でした。

こちらは当こころの医療センターにて、北大ピアレビューチームと私たち

 

北大チームさん、賀古先生はじめみなさん気さくで、キャラが独特すぎることで業界でも意外に知られている私にも寛大で、とても楽しかったです。距離的な問題もあってちょくちょく視察にお邪魔して…というわけにもいかなさそうですが、認知機能評価と認知機能リハに関するオンラインでの講演研修といったあたりからスタートして、今後もいろいろ教えていただければと思っております。賀古先生、北大司法医療センターの皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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