プロジェクトメンバー日誌

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2020.2.7
「PANSSの改善率は統合失調症の退院予測につながるか~令和元年度第2回クリニカルパス大会より~」
メンバー日誌

令和2年1月22日(水)17:30から約1時間、今年度2回目のパス大会が開催されました。院内の多職種50名の参加があり、アンケートでも95%が有意義であったと答えています。

今年度のクリニカルパス委員会では、平成30年度一年間の統合失調症の症状を評価するスケール「PANSS(パンス)」のデータを分析しました。統合失調症クリニカルパス(以下パス)は、年間約100件適用され、適用率は約95%です。入院1週目(1日目)、2週目、4週目、7週目に臨床心理士がPANSS評価をしました。パスの中にPANSS評価が組み込まれています。
分析の結果、当院では70点台で入院し40点台で退院していることが分かりました。また、入院2週目のPANSSの改善率は19.6%であり、20%という治療ガイドラインと矛盾せず、当院は標準的な医療水準を達成できていることが分かりました。また、2週目のPANSSの改善率の上位群と下位群で比較したところ、2週目のPANSSの改善率が在院日数に大きく影響し、退院予測につながっていることが分かりました。

そこで今回のパス大会では、医師と臨床心理士からPANSS評価についてレクチャーを受けた後、各職種がどのように患者さんと関わっているかを発表しパスを検証しました。医師、臨床心理士、看護師、精神保健福祉士、薬剤師、作業療法士、検査技師、管理栄養士それぞれが専門性を生かして熱心に患者に関わっている様子がわかりました。

今後のパスの改善点としては、2週目の中間アウトカム(目標)を「PANSSが20%改善する」とし、退院予測につながるクリティカルインディケーター(重要な指針)として位置付けることが妥当と思われます。そのうえで2週目の改善率が20%に満たない患者さん用に、別パスを分岐するという方法も考えられます。また、初回入院の患者さんと、再入院以上の患者さんのパスを分けて考えることも必要かもしれません。
退院を妨げる因子は社会的な問題や環境調整など様々であり、症状の改善だけでは退院できないケースも多くあります。今後もデータを分析し、退院予測に影響を与える様々な因子との関連を探り、適切な在院日数と患者さんのより良い回復を目指して、多職種チームでパスの改善に取り組んでいきたいと思います。

(文責 東2病棟パス委員 三原美雪)

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